岩下徹即興ダンス公演『みみをすますー谷川俊太郎同名詩集(福音館書店)より―』2017開催しました。

2年ぶりに岩下徹さんの即興ダンス公演を開催することができました。前回は野外(靭公園)での公演でしたが、今回は室内での開催。途中室内から外に出るという案もありましたが、環境的に難しいという判断になり45分ほど、ご来場くださった方々の沈黙を舞台にしての公演となりました。30年以上様々な場所で踊ってこられた岩下さんですから、施設の中での公演はなんの問題もないだろうと思うも、あまりにも生活感のない安全で清潔すぎる空間では、緊張感も高まりすぎてしまうのではないかと心配もしておりました。冬の寒さや景観もその緊張を後押ししてしまわないかなどなど。しかし、実際開催しますと、この照明も音楽もなにも使用しない沈黙の舞台に神様が?ギフトを授けてくださったと思えるような瞬間が訪れ、それは小さな子どもの声で囁く歌となって現れました。「きらきらひかる。。。。」誰もがよく知るきらきらぼしが、小さな小さな声で時々途切れては気まぐれにささやかれます。それは何処からかやってきた謎の声というわけではなく、ご来場くださっていたお客様のお一人で、5歳の女の子でした。退屈しないかな?眠くならないかな等と心配していたお子さまが、楽しそうにご自身のペースでゴロゴロ転がったり、毛布をかぶったりしながら歌を歌っていたのでした。こういった素敵な環境が与えられたのは、岩下さんやご来場くださっていたみなさまがそこに起こることをすべて受け入れてくださっていたからで、本当にすてきな体験でした。岩下さんはその歌声にみみをすまし、でもそれに直接向き合うわけではなく、ダンスをおどられていましたが、女の子の歌とダンスが共振しているように、または共鳴しているように感じとられる瞬間があったり、またふっと離れる瞬間があったりという面白い現象も起こり。後で岩下さんは彼女の歌声やことばに依存しないでダンスを踊られていたと話してらっしゃいましたが、岩下さんのダンス、他者との交流、ダンスはコミュニケーションだという意味を実感できたように思います。女の子の「あとどれくらいで終わるの?」という父への問いかけに岩下さんが「もう少し」とささやくやりとりがあり、客席から笑いが起こりました。私はとっても驚いて声をだして笑いそうになりました。

 

前回は野外でしたので、スタッフの気があちこちと向いていてゆっくり岩下さんのダンスに集中できなかったのですが、今回は室内でしたので集中して私たちも観ることができました。そして改めて、ずっとまっすぐに身体に向き合い踊り続けてこられた岩下さんの身体の強度を体感しました。踊るために作られた身体ではなく、踊ることしか知らない身体ってこんな感じなのだろうか。自分や世界を語る、偽る余裕もない、一瞬一瞬に身体が立ち上がっていく様子は大変強く、私は目が離せなくなりました。私は十数年前、初めて岩下さんのダンスを観た時にもそんな体験をしているので、「ダンスは表現ではない」という岩下さんのことばがとても好きで信頼しています。

 

毎年季節のよい4月ごろに開催しておりました岩下徹さんのイベントを今回とても寒い12月に開催することとなり、

ご来場くださった方々には寒い中お越しいただくことになってしまいましたが、それでもたくさんの方々にお集まりいただき、深く、深く感謝しております。

 

毎回たくさんの方にお力添えいただき、大変心強く、お声掛けてくださったときのことばやお一人お一人のお顔を浮かべては、今すぐ駆けつけて手を握りお礼を言いたい衝動にかられます(時々気性が激しい)。

 

まだまだ至らぬところも多々あるかもしれませんが、これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

シェア、リツイート、告知のご協力、サポートしてくださったみなさま、ご参加くださいましたみなさま、そして岩下徹さんに心から深く感謝申し上げます。

 

(KIKU)